税金・確定申告
暗号資産を日本円にしたときの税金の考え方を、所得区分・課税方式・申告時期・20万円ルールの誤解の順に整理します。国税庁の一次情報を参照し、2026年9月時点の一般的な取扱いとして説明します。
注意
はじめに
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談に応じるものではありません。実際の申告にあたっては国税庁の最新の公表資料を確認のうえ、税理士にご相談ください。
以下はすべて2026年9月時点の一般的な取扱いとして記載しています。改正により変わることがあります。
原則は「雑所得・総合課税」
国税庁は、暗号資産の取引から生じた所得を原則として雑所得に区分するとしています。 事業として行っている場合など例外はありますが、多くの個人にとってはこの区分が出発点になります。
雑所得は総合課税の対象です。給与など他の所得と合算した金額に対して税率が決まります。 株式の譲渡益のような申告分離課税(一律の税率)とは扱いが異なります。
実務上効いてくる3点
- 所得が増えるほど税率が上がる(累進課税)
- 給与が高い人ほど、同じ利益でも税負担が重くなる
- 損失を他の所得と損益通算したり、翌年以降へ繰り越したりすることが、株式のようにはできない
出典: 国税庁 暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ) (2026年9月時点確認)
出典: 国税庁 No.1500 雑所得 (2026年9月時点確認)
いつ所得が生じるのか
「日本円にしたとき」だけが対象ではありません。国税庁は、暗号資産を売却した場合のほか、 暗号資産で他の暗号資産を購入した場合や、暗号資産で商品を購入した場合についても 所得が生じうるものとして取扱いを示しています。
海外取引所での交換や DEX でのスワップも計算の対象になりえます。 日本円に着金していないから関係ない、とは言えません。
税率の考え方
所得税は課税される所得金額に応じて税率が段階的に上がる累進構造です。 さらに、これとは別に住民税がかかります。住民税の所得割は標準税率が10%とされています。
具体的な税率の区分と控除額は、国税庁が公表している所得税の税率表で確認してください。 当サイトは税率表の数値を本文に転記せず、一次情報を参照する方針をとっています (転記は改正時に古い数値が残る事故を招くためです)。
出典: 国税庁 No.2260 所得税の税率 (2026年9月時点確認)
おおよその税額を試算したい場合は換金シミュレーターを利用してください。 概算であり、実際の税額を保証するものではありません。
「20万円ルール」の正しい理解
最も誤解が多い論点です。
所得税の話と住民税の話は別
給与所得者で、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が20万円以下である場合に、 所得税の確定申告を要しないとされる取扱いがあります。 しかし住民税には同様の基準がありません。 所得税の確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村への住民税の申告が必要になることがあります。
適用されない場合がある
この取扱いは、給与について年末調整が行われていることなどが前提です。 医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合には、20万円以下の雑所得も申告に含める必要があります。
出典: 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 (2026年9月時点確認)
いつ申告し、いつ払うか
所得税の確定申告は、原則として利益が生じた年の翌年2月16日から3月15日までの期間に行います。 納付期限も原則として同じ時期です。具体的な日程は年によって変わるため、国税庁の案内で確認してください。
注意
換金した年と納税する年がずれる
年末に大きく換金し、そのまま暗号資産を買い直して価格が下落した場合、 納税資金が手元にないという事態が起こりえます。 換金した時点で、概算の税額に相当する日本円を分けておくのが安全です。
記録として残しておくもの
- 各取引所の取引履歴(CSV)
- 送金履歴とトランザクションID
- 日本円出金の記録と銀行の入金明細
- 取得価額を計算した根拠
海外取引所やウォレットの分は、自分で保存しないと後から取得できません。 資産を回収する前に履歴を落としておくことを勧めます。
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よくある質問
Q.保有しているだけで税金はかかりますか。
保有しているだけで含み益がある状態では、原則として所得は生じていないとされています。売却や他の暗号資産との交換など、利益が確定する行為があった時点が問題になります。
Q.暗号資産どうしの交換も対象になりますか。
国税庁は、暗号資産で他の暗号資産を購入した場合についても所得が生じうるものとして取扱いを示しています。日本円にしていなくても計算の対象になりうる点に注意してください。
Q.利益が20万円以下なら申告は不要ですか。
給与所得者で給与以外の所得が20万円以下の場合に所得税の確定申告を要しないとされる取扱いはありますが、住民税には同様の基準がありません。所得税の申告をしない場合でも、お住まいの自治体への住民税の申告が必要になることがあります。
Q.海外取引所での取引も申告の対象ですか。
利益が出ていれば、どこの取引所で取引したかにかかわらず申告の対象になります。海外取引所は日本の税務向けの年間取引報告書を出さないことが多いため、取引履歴は自分で保存してください。
Q.損失が出た場合はどうなりますか。
雑所得の損失は、給与所得など他の所得区分と損益通算できないのが原則です。また株式の譲渡損失のように翌年以降へ繰り越すこともできないとされています。詳細は国税庁の公表資料を確認してください。